2008年08月30日

米原万里「心臓に毛が生えている理由」



米原万里 心臓に毛が生えている理由


我が母校の大先輩であり、露語通訳者、コメンテーター、文筆家でもあった、
私が敬愛して止まない米原万里さんのラスト・エッセイとなった著書です。

過去の週刊誌やブックレットに掲載されたエッセイを集めたものですが、
読んでいてまずその先見の明の鋭さに感嘆せずにはいられません。

取り上げられている事柄やニュースは、執筆当時のもので、
今は昔、である事象ではありますが、そこに向けられる米原さんの
時代を深く読み解く洞察力は、今もって輝きを失わないどころか、
もうすぐ先に来ている未来にすら、合致することばかりで、
全く舌をまくばかりです。

加えて、切れ味抜群な文章力!!!???

2〜4ページの中で、どこを取っても無駄がない、そぎ落とされた文章。
それでいて
言わんとされること奥深く、
けっして少々聞きかじりの知識と、付け焼き刃の教養だけで、
どこかちょいとつついたら、がらがらと音をたてて崩れるような、そんななまっちょろい内容ではないのに、
このヴォリュームで、こちらの心の奥底までもぎ取られるような
そんな文章が書けるなんて・・・・。

ただただ、敬服の、一言しかないのです。

う〜ん、比べることすら恐れ多いのですが、
こちとら、書くことを昔生業としていたこともあったと言うのに、
なんと自分は文才がないことか!?
余分なものが多すぎる、冗長な文章、
それでいて、言葉足らずで誤解され、書いた言葉で誤解されて、
情けないったらありゃしない。

ああ、米原さんのようなしゃきっと、説得力のある文章を書きたいものです。

閑話休題・・・。


なぜ新聞記事に著名はいらないのかを書いた「無著名記事」
数が多ければ名作が生まれる訳ではないことを書いた「物不足の効用」
私が筆者の著書で一番好きな『嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を書くに至ったいきさつ、
ご両親への深い愛情、などなど、
思わず唸り、感心し、クスッと笑い、知らず知らずに涙が出て来て・・・。

読み応えたっぷり、読むたびに米原さんの聡明さを認識させられる、そんな一冊です。
posted by 乃琶 at 15:10| Comment(0) | 本・映画・ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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